おもに新選組について、他自分の好きな事、日々感じた事など気の赴くままに綴ります。

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新選組始末記 第14話
第14話 「近藤江戸下り」

近藤局長が、将軍家茂の長州出馬を願う会津守護職の親書を持って江戸に向ったのは、
元治元年十月下旬、晩秋の頃でした。

主な随行者は、永倉さんと入隊したばかりの武田観柳斎(草薙幸次郎)。
そして、先発隊として一足先に江戸入りをしている藤堂さん。
ここで初登場となる武田観柳斎ですが、これがまたおしゃべりもおしゃべりで・・・。
その口からは機関銃の弾のごとく言葉が出てきて、さすがの原田さんも辟易といったところ。
とにかくどうしようもないお調子者といった感じです。

駕籠の支度ができたと伝えに来た沖田さん、近藤さんは出かけたと土方さんに言われ、、
江戸へ発つというのに?と驚きますが、実は、おすみさんに会いに行ったと聞かされます。
土方さんによれば、心残りがひとつあり、どうしてもこのままじゃ江戸に発てないと
出て行ったとのこと。その心残りとは言うまでもなく沖田さんとおすみさんのことです。
総司がこのまま憎まれたままでは可哀想だという近藤先生の気持ちでした。

仏壇の前で手を合わせる近藤局長。
傍らにおすみさん。

仏壇の前から下がるとおすみさんの前で三つ指を突き、

「私はこれから江戸へ発つ。その前にどうしてもあなたに侘びが言いたかった。」と局長。

「近藤先生に今更お詫びなど言うてもろうても、父は生きてもどりゃしまへん。」と
                                 まったくつれないおすみさん。
それに対し、

「たとえ許しが得られなくても、私は新選組局長として、心から詫びる。」と
                                深々と頭を下げる局長。

「しかし、今日ここへ来たのはそのことの為だけではないのだ。
 沖田のことだ。あなたのお父さんが亡くなられた事について、我々新選組を恨むのはいい。
 しかしっ、それならっ、この近藤を恨んでくれ。
 沖田だけは憎まないでくれっ、頼む、このとおりだ。」 再び深々と頭を下げる局長です。

「すみさん、あなたの父上の死に沖田に罪はないっ。」

近藤局長の必死の訴えにやっと口を開くおすみさん。

「あの日・・・、父は珍しくうちにしみじみと話をしました。
 もし、うちがお嫁に行くことになったら、祝言の席には出んとどっかでお酒を飲んで
 酔いつぶれてると。父がそんな話をしたのは初めてどした。
 うち、父を頑固な人やとばっかり思うて・・・
 父と娘だけの長い暮しで、初めて親子の心が通いおうた日やったのです。
 それを新選組が・・・。」

そうでしたね、やっと分かり合えた、そんな感じの二人でした。
でも、その時、突然、新選組に追われた浪士が二人の家に逃げ込んできて・・・
結果的に新選組に助っ人にきていた会津藩士によって
玄沢は命を落とすことになったのでした。

 「無理どすっ!うちに恨むなとゆうても無理どすっ!」

じっと聞いていた局長。

「よくわかる。しかし、わかるからこそ、沖田だけは憎まないでやってくれとお願いしているのだ。
 すみさん、あなたの悲しみを和らげるのにこの私にはできなくても沖田にはできることがあるだろう?
 私の言う言葉の意味をよーく考えて貰いたい。」

「近藤先生。」 少しだけですが、心を動かされたような感じのおすみさんです。

「出発の時が迫っている。すみさん、沖田の為にも気短なことはしないで貰いたい。」

そう言い残し、もう一度深々と頭を下げて出て行く局長。

果たして、近藤局長の必死の思いは、おすみさんの心に届いたでしょうか?
固く閉ざされた心を少しでも溶かすことはできたでしょうか?
その結果がわかるのは、もう少し先かもしれません。

そして、屯所に戻った近藤局長は、土方さん、沖田さんら幹部および隊士達に見送られ、
江戸へと旅立っていくのでした。

局長達が出発したのを見届けると、すぐに飛んだ副長の厳しい声。

「二番隊、五番隊、俺に続けっ!直ちに西本願寺に行くっ。」

副長、西本願寺の探索、あの時の言葉どおり始めているのですね。
この探索の結果で、西本願寺への屯所移転の話が出てくるわけで、
それが、総長と副長の間に修復不可能な決定的な亀裂を生むことになると思うと
本当に辛いです。

一方、先に江戸入りした藤堂さんは、以前から知り合いだった同門の北辰一刀流
伊東甲子太郎(戸浦六宏)の深川佐賀町にある道場を訪ねていました。
藤堂さんは、近藤さんが着く前にどうしてもお願いしたいことがあると伊東に切り出します。
それは、とりもなおさず伊東に新選組に入って欲しいということでした。

(伊)「私がなぜ新選組に? 池田屋事件以来、新選組は人斬り狼の評判高く、
    大変なものではないか。」

(藤)「いや、そこです。このままですと、新選組は全くの人斬りに成り下がってしまいます。
    私は池田屋でつくづくそのことを悟りました。」

ええ?藤堂さん、そんな時からもうそんなことを考えていたのですか?

(藤)「もともと私は、先生と同じように尊皇攘夷の志厚い者です。
    近藤先生や土方さんも心の底では今でも攘夷の志を持っていると思います。
    しかし、新選組は大きくなり、有名になればなるほど違った方向に動いています。
    隊内では私と同じ考えの者がたくさんいて、近頃ではそういう話ばかりしているんです。」

藤堂さんは、そんな風に考えていたのですね。
ですが、違った方向とはいったい何なのでしょうか?

(伊)「近藤さんや土方さんに攘夷の志があるのなら、
    私に頼むよりまず二人に話すべきではないのかね?」

さすが、伊東先生。仰ることにも筋は通っています。
そうですよ、藤堂さん。隊の方向性に疑問があるのなら、第三者に相談するよりも先ずは、
局長と副長に話すべきでしょう?

(藤)「あっ・・・、近藤先生や土方さんは、隊をまとめることに精一杯で、
    お二人とゆっくりお話をする暇などありません。」

ええー?そんなあ、それじゃあ駄目でしょう。
大事なことなのだから、とにかく時間を作ってもらい話をしなくちゃ。
話をした結果、やはり駄目だったというのであれば、そこで初めて第三者に助けを求めても
よかったのではないですか?
だって、近藤さんも土方さんも、試衛館以来の仲間である藤堂さんが、
よもやそんな思いを抱いているとは露ほども思っていないはずだもの。

ちゃんと話をすれば、彼が納得いく回答ももしかしたら得られたかも知れない。
そうすれば、これからの新選組の行く末を近藤局長の運命を左右することになる
伊東の入隊そのものがなかったかもしれないのに・・・。
なぜ、独断で伊東なんかを新選組に誘ってしまったのか?

(伊)「君は隊内に同じ考えの者がいると言ったが、幹部にもいるのかね?」

(藤)「はい。確かめてはいませんが、たとえば総長の山南さんなど、はっきりそうです。」

(伊)「総長の山南・・・。」

(藤)「ただし、山南さんと土方さんは憎みあっていて、山南さんの言うことでは
    土方さんも聞きません。総長と副長がいがみ合っていては、
    この先新選組はどうなってしまうことか・・・。」

いえいえ、藤堂さん。二人は憎みあってなんていませんよ。ただ意見が違うだけです。
でも、今の二人を見れば誰だってそう思いますよね。
それは仕方ないことかもしれません。

(藤)「お願いです。助けて下さい。」

(伊)「私にどうしろと言うのだ?」

(藤)「ですから、新選組にお入り頂きたいのです。先生の学識と指導力で
    新選組を立て直して欲しいんです。
    伊東先生なら静かに論を尽くされます。隊士も納得します。
    場合によっては、近藤先生や土方さんも考えを変えるかもしれません。」

うーん? それはどうでしょうか?
伊東さんの言で局長と副長が考えを変えるというのは甘い気が。
局長については、その可能性もわずかにはあるかもしれないとも思えますが、
少なくとも土方さんは無理と感じます。
なぜって、学者肌の伊東さんと土方さんが意気投合できるとは到底思えませんから。

(伊)「妙なことを聞くが藤堂君、君は近藤さんに疎まれているのかね?」

これまた、なかなか鋭い質問です。

(藤)「いいえ、その逆です。近藤先生は私を信じて下さいます。
    だから今度も供に選ばれたんです。」

(伊)「その近藤さんを裏切るのか?」

(藤)「そうなりたくないんですっ!私が近藤先生の日頃のご恩に報いる道は、
    伊東先生を動かして近藤局長を説得して頂き、その上でお二人力を合わせて
    新選組本来の道に戻して頂く。それ以外にないんですっ!」

ねえ、藤堂さん。
自分は信頼されているとわかっていて、しかも近藤先生を裏切りたくないなら、
日頃のご恩に報いたいのであれば、問題解決のためにすべきことは、何度も言いますが、
近藤先生と膝を割って話すことが先決であり、それを飛び越え、伊東に会いに行くことでは
決してなかったはず。
伊東が入隊し、思い通りに事が進めばいいですが、そうならなかった場合、その時はどうするのか、
駄目だった場合、脱退を許されない新選組において、どうするつもりだったのか?
果たして、そこまで考えての行動だったのでしょうか?

ひととおり話を聞き終えた伊東の返答は、やはりそれは難しいというものでしたが、
そこを何とかと譲らぬ藤堂さん。とにかく自分が段取りをつけるので近藤局長に会って欲しい、
と懇願して、辞去するのですが・・・
藤堂さんが去るとすぐに、伊東の弟である鈴木三木三郎や篠原泰之進等、
後に伊東と一緒に入隊することになる、いわゆる伊東一派の者達が現れ、
彼らは、佐幕と勤皇に真っ二つとなった新選組に誘われたことを耳寄りな話だと
なにやら不穏な笑いを浮かべます。
そして、伊東本人も藤堂さんには難しいと言ったものの、
「そうだ、耳寄りな話だ。私の心も揺れ動いている・・・」と胸中を吐露するのでした。

一癖も二癖もありそうな、見るからに一筋縄ではいかなそうな伊東甲子太郎をはじめとする面々。
彼らが入隊すれば何も起こらないはずがない、そう予感させるような伊東派の初登場でした。

                                               次回へつづく・・・



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