おもに新選組について、他自分の好きな事、日々感じた事など気の赴くままに綴ります。

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

新選組始末記 第14話 5
第14話 「近藤江戸下り」5

一方、京都では、土方さんと山南さんの間にまた新たな騒動が、
起ころうとしていました。

屯所の一室で、一人俳句をひねっている土方さん。
あれ?ちょっとのんびりムードですが、久々のプライベートタイムでしょうか?
ですが、それもつかの間、「副長!」と入ってきたのは原田さん。
急いで句帳を隠す土方さんが、ちょっと面白いです。

が、原田さんの話は重大で、
粘った甲斐があり、今、西本願寺から長州の残党が7、8名逃げ出し、
総司が塩小路に追い詰めているという報告でした。
「どぶねずみめ、這い出したか。よしっ、行こう。」と
急ぎ剣を取って、(句帳を投げ出し)現場へと急ぐ土方さん。
追いつ追われつ、狭い路地での斬り合いは、凄まじいものでした。

そして、新選組に追われた一人の長州藩士が、命からがら逃げてきたのは、
何やら見覚えのある家の前。
そうです、そこは今さっき山南さんがやってきた明里さんの家。
こともあろうにその長州藩士は、その家に逃げ込んだのでした。

を読んでいる山南さんにお茶を入れる明里さん。
と、突然、誰かが侵入してきたような音。
「誰だっ?」 素早く剣を取り、身構える山南さん。

「長州の赤羽武人というものです。新選組に追われております。」

「新選組?」 驚いた様子の山南さん。当然です。

「長州といっても怖がらんで下さい。私は医者の出身で、奇兵隊の隊長を務めたこともある者です。
 しかしっ、京都に攻め込む無謀な者とは違うのです。」

刀に手をかけ、障子を開ける山南さん。
傷ついた長州者をしばらく見ていましたが、
「ここだ、ここへ逃げ込んだぞっ、開けろ。(ドンドンドン)新選組だ、開けろ。」と
戸を激しく叩かれると、
何を、何を血迷ったか山南総長、驚きの言葉を発します。

彼に「さあ、隠れたまえ。」と・・・  えーっ?

「かたじけない。あなたは?」 

「新選組総長、山南敬助だ。」

「し、新選組ぃ~。」
  
赤羽さんの驚きは相当なものだったでしょう。
何しろ逃げ込んだ先が、新選組総長の元だったのですから。
今にも泣き出しそうな顔が、それを物語っていました。

「心配するな。君が長州の変わり種のように私も新選組の変わり種だ。さっ。」

ちょっ、ちょっと待って下さい。
いくらなんでも新選組総長が、そんなことをしてはダメでしょうに。
どういうつもりで? 山南さんの気持ちが全くわかりません。
まさか、土方さんに対する当てつけ?
だとしても、新選組隊士である以上、してはいけないことですよね。
人に情けを掛けてはいけないわけではないですが、立場は考えないと。
それに、彼らを捕らえようと命懸けで追いかけ戦っている隊士たちの思いは
どうなるの?ということにもなります。

赤羽さんを隠れさせ、外に出る山南さん。
待ち構えていたのは、土方さんはじめ沖田さんと原田さん、他の隊士たち。

「山南さんっ!」 驚きの声をあげたのは土方さん。

沖田さんと原田さんを見回し、

「そうかっ、やはり隊士の噂は本当だったなっ。
 山南さん、きたねぇぞっ!休息所を持ったなら持ったで、なぜ届け出ねえ。」

と食ってかかる土方さんですが、言っていることはごもっとも。
ですが、土方さんの怒りようを考えると、山南さんに対する隊士たちの噂を追求したわけではないし、
あの時、山南さんに休息所について問いただした時、そんなものはないと言った山南さんの言葉を
結構信じていたのかなという気がしました。
土方さんだって、何でもかんでも疑ってばかりいるわけではないんじゃないかと。
いがみ合ってはいるけれど、山南さんのことを決して憎んだり、嫌ったりしているわけではないと
改めて感じました。

(山)「何がきたないんだ。ここは君の言うような休息所ではない。
    私が本を読む場所だ。近頃の屯所は騒々しくて、落ち着いて満足に本も読めないからね。」

(土)「本を読む場所だと体裁のいいことを言うな。隠すな。女がいるんだろう?」

(山)「別に隠しはしない。しかし、繰り返すがここは休息所ではない。
    新選組の密談には絶対に使わせない。だから、届けない。」

さっき、明里さんに話したままを土方さんに伝える山南さんですが、
でも、なんだか屁理屈にしか聞こえないのは、私が土方さん贔屓ゆえでしょうか?

(土)「山南、そこまで俺に逆らう気かっ!」 

堪忍袋の尾が切れたと言わんばかりに山南さんの胸ぐらを掴む土方さん。
と、そこへ割って入ったのが沖田さん。

(沖)「二人共、やめて下さいっ!」

(沖)「土方さん、ここは私が永倉さんや原田さんに相談して、山南さんに本を読んで貰うために
    借りた家です。」

驚いたような土方さんの顔。
かなりのショックだったようで、何か言おうにも言葉が出ない様子。
それもそうかもしれません。
試衛館メンバーの幹部たちが、自分に内緒でこういうことをしていたということですから。

(沖)「女の人もいます。 でも、それでもいいじゃないですか。
    山南さんの言うように公務に関わりのない場所があってなぜ悪いんです。

    土方さんは、休息所も公務に関わりを持たせようとする。
    それじゃ、本当の休息所じゃないっ
    新選組が※特定の場所を持ったからって、それを咎めることはできません。

    それに二人共、近藤局長が江戸へ行った後、
    なんでそんなにいがみ合ってばかりいるんですかっ
    それで、局長代理を務める総長と副長と言えるんですかあっ!

沖田さん、よくぞ言って下さいました。
でも、ひどく興奮したせいか「総司っ!」という土方さんの声を聞くと同時に
激しく咳き込んでしまいます。
長州の残党と戦い、彼らを追ってきた後のこれですから、病の身には無理もないかと。

沖田さんの言葉にぐぅの音も出ない様子で、黙ってしまう二人。
沖田さんのことをとても大事に思っている二人ですから、
彼に言われるのが、一番身に堪えるのかもしれません。
ホントに、この二人に面と向かってこんな事を言えるのは、局長の他には彼しかいません。
そして、二人の関係に誰よりも心痛めているのもまた、この沖田さんなのだと思います。

                                                  つづく・・・

   
    上記、沖田さんのセリフの中の<※特定の>という箇所についてですが、
      実は何度聞いてもよく聞き取れず、私にはこう聞こえる気がしたので、
      この言葉を記載しましたが、とても曖昧です。
      なんとかの場所と言っていることは確かなのですが、その前の言葉は
      違う可能性が高いかもと思います。何卒ご了承下さい。
      もし、お分かりの方がいらっしゃいましたら、お教え頂けると嬉しいです。
      よろしくお願いします。
スポンサーサイト

新選組始末記 第14話 4
第14話 「近藤江戸下り」4

さて、江戸の近藤局長はというと、京都守護職の親書を江戸城において
老中松前伊豆守に提出したのですが・・・。

老中からは、会津殿の親書は確かに拝読した、京都での苦衷、心から同情する、
この親書は早速、上様にご覧いただくつもりとの言葉を賜りますが、
肝心の上様御進発の日時を尋ねるに至り、老中の口から出たのは、
思いもよらぬ言葉でした。

それは、「上様は御進発なさらぬ。いや、できぬ。」というもの。
なにゆえかと強く詰め寄る局長が聞いたのは、
「幕府には金がない。」
「上様御進発をまかなう金がない。財政は極度に逼迫しておる。」という言葉。

上様が大坂に赴かないのは、長州が恐ろしいのでもなんでもなく、
道中の経費がないからだというのです。

(老中)「近藤、察してくれい。
     これが、その方らの誠忠心に答えられる真の理由だ。」

(局) 「松前様・・・。」

(老) 「恥だ。恥を忍んで言う。近藤、この松前、泣いても泣ききれんのだ。」
    
老中にここまで言われてしまったら、さすがの局長もゴリ押しはできず、
「ご心中、お察し申し上げます・・・。」と
ただただ、深々と頭を下げるしかありませんでした。

試衛館に戻った局長は、永倉さんら供の隊士達にこのことを伝えますが、
これは、ここ限りの話で他言は無用とのことにします。

そして、そういう事情なら、これ以上老中たちを追い回しても仕方がなく、
京都での新選組の役目はいよいよ重くなるので、隊士を募集して帰ろうという
永倉さんの意見に
「俺もそう考えていたところだ。やはり武士は東国に限るからなあ。」と局長も賛同。
藤堂さんに
「藤堂、この間話していた伊東さんに明日にでも会おう。」と自ら言い出すのでした。

隊士募集の話にここぞとばかり、伊東さんのことを切り出そうと身を乗り出したとたん、
武田観柳斎お得意のおべっかに邪魔されてしまったので、
局長からのこの申し出は、藤堂さんには、さぞ嬉しかったに違いありません。
「はいっ、早速手配します。」との元気な返事にもその思いが感じられました。

伊東道場に赴いたのは、近藤局長と藤堂さん。

(伊東)「近藤先生のご存念と一介の武芸者に過ぎぬこの伊東へのご厚情、よーくわかりました。
     しかし、新選組入隊の話は、私にとってかなり重要です。
     しばらく時をお貸し下さい。」

うーん、なんとももったいつけたような言い方が、嫌ですね。
もし、この場に土方さんがいたら、きっと嫌~な顔してたと思います。

(局) 「当然です。ご勘考の暇もなく承諾されたら、私の方で考えたでしょう。
     いや、十分お考え下さい。
     しかし、結論はできるだけ入隊の方向でおまとめ願いたい。あはははは・・・。」

和やかな雰囲気で話は進みますが、伊東が一つだけ確認したいことがあるとのこと。
それは、局長があくまでも尊皇攘夷の志を持っているのかどうかということでした。
局長の答えは、当然のごとくイエス。
ただ、長州とはやり方が違うだけだというのもでした。

でも、実を言えば、この伊東とも違うわけで・・・。
そのことが、のちのちの問題を引き起こす原因になってしまうのです。
だから、本当はもっと議論を尽くして、お互いに理解し合った上で入隊を勧めるべきではなかったかと
思えてなりません。

が、時間もない中、優秀な人材ということで、局長も伊東の力が是非欲しいと思ったに違いなく、
これもまた運命と言わざるを得ない気がします。

近藤局長が、京都での再会を楽しみしていると言い残して辞した後、
伊東たちは京都行きを決意します。

が、「近藤と一緒に行くのですか?」との篠原泰之進の問いに

「人間の売り買いは大事だ。絶対に自分から安売りをしてはならぬ。
 近藤が発った後、ゆっくり東海道を上るさ。あっはははは・・・。」と答えた伊東。

対面後、近藤局長をなかなかの人物だ、さすがは一党を率いる男だと評価したにもかかわらず、
新選組に対し、相変わらずどこか見下したような馬鹿にしたような言動がめだつ伊東一派です。
でも、そんな伊東たちも笑っていられるのは今のうちなのですよね。
この先、京都で待ち受ける過酷な運命は、まだ知る由もありません。

朝、出立支度の局長たち。
そこへ永倉さんが、新しく補充した隊士を京に向けて出発させたとやってきます。
人数は50人。局長もそれは心強いと満足そうです。
確かに短期間で50人もよく集められましたよね。さすが永倉さんたちです。

あとは伊東の件ですが、局長が藤堂さんに何か言ってきたかと問うも、
どうやらまだ返事はないらしく、出発前に催促してくるという藤堂さんを
「やめろ、成り行きに任せた方がよい。」と局長は諌めます。

そこで、今度は永倉さんが藤堂さんにこう話しかけるのでした。

(永)「しかし、藤堂。剣術の同門とはいいながら、お前、またばかにあの伊東さんに熱心だな?」

永倉さんの鋭い指摘に少々戸惑い気味な藤堂さん。
それはそうですよね。
まさか伊東さんに新選組を助けてもらいたいから、などどという本音を言えるわけがありません。
この場は、「はいっ、近頃…とにかく得がたい人物ですから。」となんとか無難に答えます。
が、更に永倉さんの追い打ちが。

(永)「いくら得がたいとはいっても、お前のは少し度を越してやしないか?」

(藤)「いや、それはっ。」

(局)「永倉。」

藤堂さんは、「それは」の後になんと言おうとしたのでしょう?
局長の遮りで、残念なことにこの話は、途切れてしまいました。
でも、局長もなぜここで遮ったのか?
単に出発前に議論させたくなかったということかもしれません。
藤堂さんの熱血さを知ればこその遮りだったのかな?という気もしますが。
やっぱり、藤堂さんの説明は、聞いておきたかったです。

永倉さんが藤堂さんに抱いたちょっとした疑問。
この時の永倉さんは、おそらくさほど重要な意味を込めて聞いたわけではないと思います。
ほんの軽い気持ちで、感じたことを聞いてみただけだろうと。
ましてや、藤堂さんがこの後、ますます伊東に傾倒していくことになろうとは、
想像もしていなかったことでしょう。

将軍の引っ張り出しは失敗に終わってしまった局長でしたが、
愚痴は言えない、自分たちは京に帰って新選組の隊務にに精励しよう、
我々は、いよいよ崩れる幕府の歯止めにならなけれがならないと
決意を新たに江戸を発ちます。

そして、その後を追うように伊東甲子太郎の一行が旅立ったのは、
元治元年十一月十四日の朝でした。

                                              続く・・・

新選組始末記 第14話 3
第14話 「近藤江戸下り」3

先日、おすみさんの家で醜態を晒してしまった沖田さん。
八木さん夫妻から、おすみさんが他国へ行きたいと言っていると聞きます。
どんなことがあっても、この壬生村の近くにはいたくないと。
近藤先生が話をした後は、一時は気持ちもおさまってきていたが、
また気持ちが高ぶってきてしまたらしいとのこと。

せっかく近藤先生がお話をしてくれたのですが、どうやらその思いは
残念ながらおすみさんには届かなかったようです。

私らがどうにかするので、もう少し待って欲しいと言う八木夫妻に
こんなことまで心配をかけて申し訳ないと謝る沖田さん。
もう二度と、この間のような馬鹿な真似はしない、私に出来ることがあれば何でもすると
頭を下げるのでした。

と、そこに出かける様子の山南さんの姿。
八木夫妻に挨拶し、後を追う沖田さん。
屯所の門を出たところで声をかけます。

(沖)「山南さん。」

(山)「はぁ、総司くんか。」

(沖)「どちらへ?」

(山)「あっ、君たちの借りてくれた家に行くんだ。本を読みにね。」

えっ?君たちが借りてくれたって?それってどういう意味?
それが土方さんの言う、噂になっているという休息所なのでしょうか?
初めて聞きましたが、とにかく、そういう場所が山南さんにあるということは確かなようです。

(沖)「山南さん、あまり土方さんと争わないで下さい。
    今は、局長もいない時です。お願いします。」

(山)「その言葉、そのまま土方くんに向けてくれっ!」

いつにない強い口調で返し、厳しい表情で沖田さんを見る山南さん。
が、すぐに考え直したように
「あっ、いや、わかったよ。君に心配かけないためにもそうするよ。」と
穏やかな表情を見せて去るのでした。
こうところにも、山南さんの人柄、優しい性格が見えるような気もします。
土方さんにはない一面かなとも。                                                                                             
そして、山南さんがやってきたのは、朱雀村にある小さな一軒家。
そこにいたのは、明里さん。

ということは、やっぱりここは山南さんの休息所?

外を掃いている明里さんには目もくれず、「山南先生。」との呼びかけにも答えず、
無言で家に上がり、外に面する障子を閉める山南さん。

(明里)「嫌な先生。人が呼んでるのにぃ。」

(山) 「外では声を掛けるな。誰かに聞かれて、土方の耳にでも入ったら面倒だ。」

(明) 「すんまへん。けど、先生のお顔を見るとつい嬉しゅうて。」

(山) 「幹部の休息所な。必ず届けるようにと今日も土方に言われたんだ。
     しかし、俺は届けない。」                                                          
明里さんがいることからして、やはりここは、誰が見ても山南さんの休息所ですよね。 
なのに届けないって。山南さん、どうして?

(明) 「どうしてどす?恥ずかしいのどすかぁ?
     けど、ここは、沖田はんや永倉はん、原田はんがお金を出しおうて
     借りてくれはったんと違いますかぁ?
     うちを島原から引かしてくれはったんも沖田はんたちどっせ。」  

ええー、そうだったのですか? 
試衛館の仲間がお金を出し合って借りてくれた?
いえ、それ以前に島原から身請けするにも協力してくれたということなんですね。
驚きましたー。でも、局長と副長は知らないとうことなんですよね。
それはちょっとまずいのでは?大丈夫なのかな?
うううん、大丈夫じゃないですよね、絶対。

(山)「隊の休息所になるとね、屯所ではできない密談の場にも使われるんだ。
    私は嫌だ。ここは、お前と二人だけの巣だ。」

そうですか、だから秘密に。
山南さん、あなたの気持ちもわかります。 
でも、でも、山南さんは新選組の総長、ナンバー2の地位にいる大幹部です。
そのあなたが、自ら隊の決まりを破ってしまうというのは、やはりどうかと・・・。

ただ、それは、今の新選組のあり方、局長や特に土方さんのやり方に対する彼なりの
ささやかな反抗と受け取れるような気がしないでもありません。
やはり、山南さんの中で新選組に対する思いに何か変化が生じているような
そんな気がしてなりません。

肩を揉んでくれるという明里さんに当然のごとく背中を向ける山南さん。
すると明里さん、「嫌どす。」 と一言。

(山)「何がだ?」  と驚いたように振り向く山南さん。

(明)「後ろ向かはったら嫌どす。」  え?

(山)「前から揉めるのかぁ?なぜ私が後ろを向いちゃいけないんだ?」  確かに。

(明)「先生の後ろ姿を見ていると寂しおす。」   なんと!

(山)「はっ。」

(明)「うち、見ているだけで涙が出てきてしもうて・・・。
    そやさかい、こっち向いておくれやす。」        うーん、切ない。

そして、向かい合った形で肩を揉み始める明里さんですが、そのぎこちなさに
やっぱりやりにくいよと後ろからにしてもらう山南さんです。
確かに向かい合いでは、照れくささ100%だし、
第一、前からではちっとも気持ちよくないですよねぇ。
一見、微笑ましくもあるやりとり。
でもなぜか物悲しさを感じてしまう場面でもありました。

肩を揉みながら、先生がいなかったら生きてられないと言う明里さんに
私は、新選組でもうまくいかない人間だが、世の中にお前のような人間が
一人でもいてくれると嬉しいと話す山南さん。

(明)「先生は、いい人どすなあ。」

(山)「土方に言わせるとな、今のこの世の中で、いい人というのは、
    いてもいなくてもいい人のことを言うんだそうだ。あっはははは・・・。」

なんと、土方さん、そんなことを言ったのですか?(土方さんなら言いそうな気もしますが。
ですが、それを自嘲気味に話す山南さんが、なんだか悲しいです。

(明)「そんなあ、先生はうちには一日でもいてくれはりゃへんと困るお人どす。」

そして、山南さんにすがりつき、こうしてもらう時が一番嬉しい、いつまでもいつまでも
こうしていたいと気持ちを伝える明里さん。

(明)「先生。」

(山)「うん?」

(明)「死んだらやどっせ。ムチャもいけまへん。」

(山)「ふっ、なぜそんなことを言う?」                                                        
(明)「心配どす。先生はあんまりにも気が真っ直ぐやし、傷つきやすおすさかい。」 

女の勘というのでしょうか。
愛する人の危うさを敏感に感じ取り、不安に駆られている明里さん。
そんな彼女の気持ちは、その表情からも痛いほど伝わってきます。
山南さんにも、そんな女の気持ちをわかって欲しいなと思います。

ずっとこうしていたいという彼女の思いが叶いますようにと
私も神様にお願いしたい。
けれど、この時、彼女が抱いた漠然とした不安は、やがて現実となって
二人の身に降りかかってくることになってしまいます。
これから先を思うと・・・その時の明里さんの気持ちを思うと・・・
本当に切なく辛いです。



                                           次回へつづく・・・



新選組始末記 第14話 2
第14話 「近藤江戸下り」2

京都を出発した近藤局長一行が、早駕籠で急ぎに急いで、箱根の関所も乗り打ちし、
江戸に着いたのは、京を発ってわずか三日目でした。

考えてみると、昔の人たちの健脚といったら半端ないですねぇ。
人を乗せた駕籠を担ぎながら走って、京都から江戸までわずか3日で到着できるとは。
当然、いくつかの宿場で選手交代するのでしょうが、そうであっても凄すぎますよね。
便利になりすぎた現代では、到底考えられません。

さて、江戸に着いた局長一行の宿は、言うまでもなく試衛館。
その懐かしい試衛館で、彼らと酒を酌み交わしているのは、局長の兄弟子で
義兄弟の盃もかわしている佐藤彦五郎。
彼は、日野の名主で土方さんの義兄でもあり、新選組に経済的な援助等、
最後まで尽力してくれた人物で、新選組にとっては、恩人とも言えるお方です。

彦五郎さんの話によると、近藤局長の父である周斎と局長の妻子は、
今は日野の彼の家に移り、元気にしているとのこと。
明日にでも訪ねて行って下さいと言われた局長ですが、今度の出府は公用で、
明日からは老中巡りであり、用が済めばすぐに京に戻らねばならないので、
老父や妻子にも会えないと思うがよろしく、と逆にお願いするのでした。

おやまあ、近藤局長には妻子がいたのですね。
そうなのです、実はこの作品では、これまで近藤局長の家族は、全く出てこないので、
ここで初めて局長に妻子がいることがわかるのです。
でも、彦五郎さんの口からは周斎先生の奥さん、すなわち局長のお母さんの名は出ないので、
この作品では、おそらく彼女はいないことになっているのではないでしょうか。
(そういえば、某大河ドラマでは、周斎先生の奥さんが嫌というほど出てきましたよね。
 私はそれが本当に嫌でしょうがなかったのですけどね。

それにしても近藤さん、これは佐藤さんに対し、ちょっと虫がいい話のような気もしますね。
家族に会いに行くというより、お世話になっている佐藤家の人に挨拶しに行くくらいはすべきかと。
確かに今、そのご当主に会っているわけですから、ここで今後をお願いしておけばいいという
気持ちもわからないではないですが。
彦五郎さんがとってもいい人なので、つい甘えてしまうということでしょうか。
どうやら、彼ががいてくださるからこそ、局長は、家族のことは何も心配せずに
心置きなく京で働けると言えそうです。

とはいえ、やっぱり、せっかく江戸に戻ってきたのに妻子にも会わずに京に戻るとは、
奥さんと娘さんが可哀想。
江戸の試衛館から日野へ行くには時間がかかることは確かなので、
それも仕方ないのかな?とも思いますけど。
局長だって、辛いのかもしれません。

一方、和やかな雰囲気の江戸とは裏腹に、京都では、留守を守る総長と副長によって
またも大嵐が吹き荒れようとしていました。

屯所の一室で相対するは、山南総長と土方副長の二人。

(山南)「西本願寺を新選組の屯所にする?馬鹿なことを言わないでくれっ!」

(土方)「何が馬鹿なことだ。俺は本気だっ! 
     西本願寺を探索した結果、あの寺にはこっちから入り込まなけりゃ駄目だ
     ということがわかった。
     虎子を得るにはまず、虎穴に入らなねば駄目だとなっ!」

いよいよ出てきました。西本願寺屯所移転問題。
土方さんの探索の結果、こういう結論に達したというわけですね
そして、ここから、山南さんの運命が大きく変わってしまうと言っても過言ではありません。

(山) 「仏を祀る場は霊場だ。そんなところを屯所にしたら、大勢の信徒たちが迷惑をするっ!」

(土) 「長州はいいのか?長州の奴らは俺達とは違うのかっ!」
 
(山) 「とにかく私は反対だっ!」

(土) 「いくらあんたが反対しようと俺はあの寺を屯所にするっ!
     今日もかっこうの集会場所を見つけてきた。500人は十分に入る。
     庭も広いし、大砲の訓練もできる。」

(山) 「寺の境内で大砲の訓練だ?土方くん、君の頭はどうかしちまったんじゃないのか?」

(土) 「正気だよ。とにかく近藤さんが戻り次第、俺は屯所を西本願寺に移すことを提案するぞ。」

(山) 「君がいくら提案しても、私は絶対に賛成しないっ!」

(土) 「いいとも、近藤さんに裁断してもらおう。」

お互い激しく言い争ってきた二人ですが、土方さんのこの言葉に黙ってしまった山南さん。
しばらくの沈黙のあと、すっくと立ち上がり刀掛けにある刀を取って部屋を出ようとします。

なぜここで山南さんは、黙ってしまったのでしょうか?
それはたぶん、気づいたからだと思います。

近藤さんにこの裁断を託すということは、自分と土方さんの話し合いは決裂。
土方さんを説得することはできなかったということで、そうなれば、どんなに自分が反対したところで
近藤さんは、九分九厘土方さんを支持するだろうと。
そして、万が一、近藤さんが自分を支持したとしても、土方さんはきっと強行するだろうことを。

それは、焼け出された人々への支援を打ち切った時のことや、
遡って松原さんを降格させた時のいきさつを思い返えしてみても
わかるような気がしますから。

(土) 「何処へ行く?」

(山) 「何処へ行こうと勝手だ。私は総長だ。副長の君にいちいち指図は受けないっ!」

(土) 「総長さんよっ、休息所じゃねぇだろうなっ?」

(山) 「なに?」  驚いたような顔の山南さん。

じっと怖い目で山南さんを見つめたまま立ち上がる土方さん。

(土) 「幹部の休息所は、近藤さんはじめ全て届け出てもらってる。内緒は困るぜ。」

山南さん、土方さんの突然の問いに少し動揺しているような感じが。
えっ?まさか、山南さんが休息所を?しかも内緒で?

(山) 「私にそんなものはない。」   否定する山南さんですが・・・

(土) 「そんならいいんだ。しかし、ポツポツ妙な噂が立ち始めてる。」

(山) 「噂? どんな噂だっ?」

(土) 「覚えがねぇんなら気にすることはなかろう。剥きんなると疑われるぜ。」

うううー、土方さんもね、こんな意地悪な物言いはやめたらいいのにって思うんですけど。
ですが、ここでの土方さんは、山南さんの言葉を素直に信じている感もあるんです。
そのことは、後ほどわかるかと思います。

すごい勢いで部屋を出て行く山南さん。
一方、彼の去った後を睨みつけ、「何が総長だっ!」と苛立ちを口にする土方さんですが、
その姿に土方さんの辛い思いが見えたような気もしました。

ああ、なんでこうも意地の張り合いをしてしまうのでしょうね、この二人は。
局長が留守で、二人には協力して隊を纏めていかなければならないという
職務があるというのに。

それぞれが自分の主張を通そうとするばかりで、話し合いにならないため、
分かり合えるはずありません。
土方さんも本当は分かり合いたいと思っているくせに素直になれず、
ムキになり、挙句は悪態をついてしまうし、
これではいつまでたっても二人の関係は平行線のままです。

いつかわかりあえる時がくるといいのに、今はそう願わずにはいられません。
でも、その願いも虚しく、この後、山南さんの中にある変化が生じてきていると
思わざるを得ない出来事が起こってしまいます。
それはまた次回で。
                                                   つづく・・・




新年のご挨拶

   新年あけまして おめでとうございます 


皆様、良いお年をお迎えのことと存じます。

どんなお正月をお過ごしになったでしょうか?

私は、本当の寝正月。

でも、家族みんなでおだやかなお正月を過ごすことができたので、良かったです。

そして、なによりも、母が今年のお正月を家で無事に迎えることができたのが、

嬉しいことでした。

昨年一年を振り返れば、いろいろと大変なことが多い年でもありました。

でも、そんな年も明けたので、心機一転、全部忘れて、新たな気持ちで頑張ろうと思います。

昨年も拙ブログを訪問して下さいました皆様、本当にどうもありがとうございました。

皆様のご訪問、コメント、拍手がどんなに励みになっていることか、

感謝の気持ちでいっぱいです。

こんなブログですが、今年も細々とではありますが、続けていくつもりですので、

引き続きお付き合いいただける方は、どうぞよろしくお願い致します。

     この一年が、皆様にとって、すばらしい年となりますように!


(ホントにこれからもよろしく~ ねっ




Copyright © 紫蝶の新選組つれづれ語り. all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。