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おもに新選組について、他自分の好きな事、日々感じた事など気の赴くままに綴ります。

新選組始末記 第8話 4
第8話 「見廻組騒動」4

老中板倉様の前に控えるは、会津藩の田中、手代木両名と近藤局長。そして、蒔田相模守。

(板)「それでは、直参の件は、どうしても受けぬと申すのだな。」

(近)「はい、せっかくの思し召しながら、到底直参にして頂く程の手柄も立てておりませぬ故、
    固くご辞退の程、お許し頂きとうこざいます。」                    
                              さすが局長、上手い理由を考えましたね。

(板)「十分に考えた上での返答であろうな。」

(蒔)「近藤!その方たちが直参を辞退すれば、新選組はどうなるか、承知の上であろうなっ!」

(近)「覚悟の上でございます。」

じっと睨みあう相模守と局長。
と、相模守が何か言おうとした時、それを遮るように
「よい、近藤下がれ、おって沙汰する。」 と御老中。

(近)「はっ。」

近藤さんが下がった後、田中様にせっかく考えてくれた妙案も効き目が無かったらしいと
苦笑いの板倉様。
面目次第もないが、近藤さんがあれほどまでの頑固者とは思いもよらなかったと田中様。
そんな会話をよそに、かくなるうえは、新選組にはっきりと解散命令を出せと迫る相模守。
さもなければ、見廻組隊士は動かないと脅しのようなことまで言い出します。
ですが、御老中はそんなことには耳をかさず、

「いや、こうしよう。佐々木。」

あらかじめ隣の座敷に控えさせていた佐々木只三郎を呼び、命じます。

「その方に見廻組の代頭を命ずる。
 ついては、見廻組は人数が足りぬ。そこで、新選組から50人ほど応援を求めたい。
 その方、即刻使者に立て。」

御老中は、もしかしたらこうなることを予想し、別の手を用意していたということでしょうか。
けれど、その指示に驚いた佐々木さん。
「恐れながら」と言いかけますが、そこは御老中、抜かりなく先手を打ちます。

(板)「その方の申し分は分っておるわ。しかし、聞かぬ。
    佐々木、近藤に申せ。これが老中板倉の最後の厚意であるとな。」

こう言われて、引き受けぬわけにいかず、佐々木さんは退席。

しかし、佐々木さんが去った後、佐々木さんの実兄である手代木様に、
実弟に酷なことをすると恨むな、幕府の威信は保たねばならぬと詫びる御老中。
そして、「蒔田殿もよいなっ!」と、
それはもう、有無も言わさぬ勢いで言い置き、去ったのでした。

これで、幕府側からすれば、この一件はとりあえず一段落といったところでしょうか。
けれど、新選組にとっては「一難去ってまた一難」といった感じかな。
50人の応援を出せと言われても、誰が行くとか色々と問題は多そうです。

さて、場面は変わって、菜の花が咲き、ひばりが鳴く中、お地蔵様にお参りするおすみさん。
ちょうどそこへ、おまささんがやって来ます。

(ま)「おすみはん。今日もまたここで、沖田はんの通るのを待ってはんのどっしゃろ。」

恥ずかしげに、切なそうに頷くおすみさん。

(ま)「可哀想になあ。おすみはんがこんなに思ってはんのに、
    沖田はんは、なんでおすみはんを避けはんのやろな?」

(す)「きっと、うちのこと、嫌いなんどっしゃろ。」

(ま)「そんなこと、あらしまへんえ。おすみはんは、綺麗で優しい娘はんやおへんか。」
                              確かに若き日の竹下景子さん、可愛い~。

と、そこへタイミングよく巡察帰りの沖田さんが通りかかり、
「あっ、沖田はんっ!」すぐに呼び止めたおまささん。
でも、おすみさんの姿を確認するとさっと踵を返しますが、
「沖田はんっ!」すかさず前に立ちふさがるおまささん。

(ま)「折り入って、おすみはんからお話しがあります。」   えっー、おまささん、そんな勝手な。

(沖)「私は、巡察~。」

(ま)「嘘をお言いやす。巡察終わって、屯所にお帰りになるところやおへんか。
    沖田はん、ちょっと来ておくれやすっ!」            
                                        おお、こわっ!
                                        おまささんには適いませんよー。

おまささんは、沖田さんをおすみさんの側へ連れて行き、思っていることの一つも言えない気の優しい娘が、生まれて初めて本心を打ち明けたのに何故避けるのかと問いただします。
沈黙する沖田さん。

(ま)「沖田はんっ!そんならうちがおすみはんに代ってお聞きします。
    あんたはん、このおすみはんを好きなんか、嫌いなんか、はっきり言うておくれやす。」 
                                            うわっ、直球勝負だー。

そして更に、今、新選組は大変なことになっているようで、壬生からも引き上げるかもしれない話も
聞いている、これっきりになるかもしれないというのに、なぜ、彼女の気持ちに応えてあげないのか、
と責めたてます。

はっきり言って、おすみさんの為とはいえ、そこまで言われる筋合いはない気もしますが…。
でも、母親のいないおすみさんの母親代わりのようなおまささん。
おすみさんのことを心底心配しているその気持ちは、わかる気がします。

(ま)「黙ってんと、はっきり言うておくれやす。
    あんたはんは、おすみはんが好きなんか、嫌いなんか、どっちどすっ?」  

再び厳しく問いただすおまささん。
沈黙の後、「好きです。」と一言、沖田さん。   
おお~、初めて自分の気持ちを素直に言いましたね。
ずっと向こうを向いて俯いていたおすみさんも、その言葉に驚いたように振り向きます。                    
それなら、なぜおすみさんを避けるのか、なぜ会ってあげないのか?
おまささんの執拗な追求に、観念したか、沖田さん、ついに本当は話したくなかったと前置きし、
玄沢とおすみさんとは会わないという約束をした事を打ち明けることに。

(す)「うちの父と、なんでどす?」

(沖)「お父さんは、私が嫌いだ。いや、私と言うより、新選組が嫌いだ。
    すみさんと会ってはいけないのは、私が新選組だから。」

(ま)「そんなアホな。」

(沖)「いや、京にはすみさんのお父さんと同じように、新選組を嫌っている人がたくさんいます。
    しかし、私は新選組に命を賭けている。
    江戸の試衛館で、私の先生である近藤局長や土方さん達に、どこまでもついて行くつもりだ。
    すみさんのお父さんに、いかに新選組を嫌われても、私は辞めるつもりはない。
    だから、会うなと言われれば、その約束を守るほかは…ない。」

(す)「沖田はん、けど、うちは…。」

残念ながら、その言葉の先は、沖田さんを迎えに来た山南さんの声で、遮られてしまうのですが、
おすみさん、何と言うつもりだったのでしょうか?
「それでも、沖田はんが好きどす。」かな?

好き合っている同士なのに、ままならぬ二人の恋。
沖田さんは、新選組は捨てられない、おすみさんは、父親を捨てられない。
見ていて辛いけど、正直、もどかしいなとも思う二人です。
新選組の行く末も気がかりですが、この恋の行方も気になるところ。
はたして、ハッピーエンドとなるのでしょうか?
ですが、まだまだ道のりは、遠く果てしない感じがします。

ところで、山南さんの用件はいったい何? 
すみませんが、今回はここまでにさせて下さいませ~。
続きは次回で。 
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新選組始末記 第8話 3
第8話 「見廻組騒動」3

外には、新選組はやはり解散か、幹部は直参で俺達はお払い箱か、と押しかけてきた隊士達。
幹部達の腹も決まり、隊士達の心配はもっともだ、自分が話をすると出て行く局長。

(近)「ちょうどいい、今、お前達に集まってもらおうと思っていたところだ。俺の話を聞いてくれ。
    お前達に隠すつもりは無い。ただ、余計な心配をかけたくなかったんだ。
    俺達は今、重大な岐路に立っている。幕府から無理難題を吹っかけられている。」  

(隊士達) 「やはり、解散ですか?」 「平隊士は、お払い箱ですか?」

(近)「 この近藤は、新選組を解散しないっ!今、幹部達と相談して決めた。
    生きるも死ぬも幹部達は一蓮托生だ。だから、動揺はするな。
    理不尽であれ、なんであれ、これは、我々新選組に降りかかった火の粉だ。
    みんなで力を出して振り払おうではないかっ!」

(隊士達) 「はいっ!」

(近)「誰にも出来なかった京都から長州を追っ払った俺達だ。
    やってやれないはずはないっ!
    短気を起こすな。黙って俺について来いっ!
    新選組は、一身同体だっ!」                近藤局長、カッコイイ~。

こんな風に言われれば、隊士達も安心し、衰えていた士気も上がるというもの。
幹部も平隊士も「一蓮托生、一身同体」と考える新選組、
それが、この新選組の強さの秘訣かもしれません。

場面は変わり、おすみさんの家。
「すみ、すみ、おい、すみ~、あははは、喜べ、喜べ」と上機嫌で戻ってきた玄沢。
何かと思えば、新選組が解散すると村で大噂になっているとの事。
おすみさんの気も知らず、新選組は解散だ、元の食い詰め浪士に戻る、いい気味だ、
これでやっと静かな平和な昔ならがらの都にもどると1人大喜びする玄沢です。
でも…、どうしてこのおじいさんは、こうも新選組を嫌うのでしょうね?どうもよくわかりません。
何も新選組が都を荒らしたわけじゃないのに。
御老中も新選組の力で京都は静かになったと認めているわけだし、
世情に疎い御仁としか思えませんけどねぇ…。

(玄)「すみ、お前まさか、あの沖田のことを考えているんやないやろうな?」   
                            考えているに決まっているでしょ。もう。

(す)「いいえ、なんにも。」            こう答えるしかないですよね、おすみさんは。                  

(玄)「あん男もバカなやっちゃなあ。不治の病を抱えていながら、新選組におって暴れまわっておる。
    江戸にいてゆっくり養生すればええものをなあ。」 

お父さんがこんなことを言うから、更におすみさんは沖田さんが心配になってしまうじゃないですか。
本当に何にもわかっていない困ったオヤジさんです。
おすみさんの切ない気持ち、男親にはわからないかもしれません。

またも所は変わって、屯所では、いいえ八木さん宅では、縁側で盆栽の手入れをしながら
お茶を飲んでいる源之丞さん。
そこへ「ご主人」と向かい側から声をかけ、何やら手招きをする土方さん。

(源)「土方さん、あなた、近藤先生と一緒に二条城へ行かれたんじゃないんですか?」  

(土)「近藤さん、1人で行きました。」  
   「これ、些少ですがお納め下さい。」   土方さんが袂から包みを出し、ご主人に差し出します。

(源)「なんです?」  

(土)「今までの宿賃です。」 

ご主人が包みを開くと、そこには五両位?が。
にっこりするご主人。

(土)「100人もの人間が、一年間厄介になったにしては、少なくて決まりが悪いんですが、
    それでも精一杯なんです。」

頭を下げる土方さん。

それにしてもねぇ、ちょっと少なすぎやしませんか?
だって、100人ものむさ苦しい男連中が、一年も使い放題使ってきた宿賃が、
たった五両ぽっちとは…。
うーん、この時の土方さん、本当に恥ずかしかったと思います。可哀想~。

でも、こちらの八木さんご夫婦は、とっても人間ができた方たちなんです。
自分達はお金が欲しくてみんなの世話をしたのではない、水くさいことはしないで、
そのお金は隊の為に使ってと言ってくれます。
まあ、そのお金は、この先どうなるかはわからないが、けじめだけは付けておきたいということで
納めてもらいますが、それでも、新選組にもしものことがあっても、この家をいつまでも宿として
遠慮なく使って下さい、と言って下さるご夫妻なのでした。

こんな風に言っていただけるなんて、ほんとに嬉しいですよね。
「かたじけない、近藤さんも喜びます。」
頭を下げた土方さんも、感謝の気持ちで一杯だったと思います。

(源)「近藤先生は、どうなさってますでしょう?」

(土)「今頃、新選組の為に、1人で幕府のわからずや共と闘っていますよ。」

近藤先生、御老中のところへ例の件、1人で断りに行ったのですね。
いよいよ正念場。
果たして新選組は、どうなってしまうのでしょうか?

                                                   つづく…

新選組始末記 第8話 2
第8話 「見廻組騒動」2

二条城内の見廻組の部屋では、先ほどの近藤局長の態度に我々を舐めているといきり立つ面々。
初めは合併と思ったが、新選組は解散させて路頭に迷わせ、食うことから苦労させた方がいい、
などと言う輩も。
そんな話を腕組みし、じっと聞いているのは、佐々木只三郎。
そうです、一年前、近藤さんたちを実兄の会津藩重役手代木様に紹介して下さった人物。 
彼の胸中もまた、複雑だったに違いありません。

そこへ老中の元から戻ってきた蒔田相模守の姿。

(武士1) 「隊長、新選組は解散に決まりましたか?」 
      
(蒔)  「奇怪千万にも、御老中は新選組にご執心だ。全くけしからんっ!」  
                             奇怪千万という表現が、なんともおもしろいです。

(武士2) 「それで、江戸からの人数は? 200人お連れになったのでしょ?」

(蒔)  「200人はおろか、100人も集まらん。」    えーっ? どうして?

この言葉に驚く一同。待遇は今の俸禄の倍にするとしたにもかかわらず、集まらなかったのだとか。
蒔田殿が言うには、近頃の若者は少しぐらい待遇を良くした位では動かない、江戸で遊んでいる方が良いと言っているとのこと。
                                 おやまあ、何ともいいようがありませんね。

(武士1) 「けしからーん、旗本の子弟として幕府への忠誠心はどうなったのです?
       職への忠誠心はないのですか?」      
                                 おお、この人は少しは骨がありそう、かな?

(蒔)  「誰もそんなものは持ち合わせてはおらん。忠誠心などと言えば、嘲笑われるだけだ。
      それが当世流らしい。違うか?」
                                 
そう言われて何も言えない一同。
何も言えないということは、やっぱりダメダメ見廻組ですね。
それにしても、蒔田相模守、こんな有様で、新選組なしでどうやって京都を守ろうと言うのか?
まったく、お笑い種もいいとこです。
はあ~、幕府直参の旗本達がこんな考えでは、後に幕府軍が薩長に勝てる道理はないですね。
まるで、幕府の行く先を暗示しているかのように思える場面でした。

一方、新選組屯所では、幹部一同が会議中。
外には、盗み聞きする平隊士。
新選組の行く末が気になって仕方ない気持ちは、分かる気がします。

(沖)「そんな身勝手な話がありますか?
    京都というこの荒地同様の土地を命がけで我々に耕かせておいて、実った米は手つかずに
    横取りしようというのと同じじゃないですか。そんな虫の良い話はありません。」    
                                      珍しく熱く語る沖田さん。

(斎)「それだけじゃない。上は芹沢、新見から下は佐々木愛次郎に至るまで、
    俺達は局中法度で何人もの同志を死なせてきたんだ。
    新選組は、自分の身体の血を吸って生きてきたんだ。
    局長、むざむざと解散などしませんぞっ!
    解散などするくらいなら、まず見廻組と一戦交えようじゃないですかっ!」       
                                      斎藤さん、かなり過激発言。
                                      でも、いい事言いますねぇ。
(藤)「そうだっ!、見廻組に斬りこもうっ!」      
            さすが魁先生の異名をとる藤堂さん、熱血ぶりは斎藤さんに負けず劣らずです。

(近)「まあ、待て。お前達の怒りは分かるが、ただ怒っていただけでは問題は片はつかぬ。
    幕府は会津藩を通して、我々幹部を直参にしたいと言ってきているのだ。  
    それを受けるか受けぬかを相談している。」                      
                                      局長の冷静さが素敵です。

(山)「我々幹部が直参になったとしたら、隊士達はどうなるんですか?」            
                                      なんとも山南さんらしい質問。

(近)「解散だ。希望する者は選考の上で、見廻組で引き受けるとは言ってはいるが。」   えっ?

うーん、そうなのですか?
幹部を直参にして、見廻組と同じ立場にすることで、新選組を今まで通り存続させる、
というわけではないんですね。
要するに現在の会社でいう吸収合併、それでは平隊士はリストラされるのは必然。           実績は新選組の方があっても、身分では直参旗本たちのが上ですから、
立場は見廻組のが強くなりますものね。

反対だ、断って欲しいと言う面々。
断るのはいいが、そうなると自分達の直参は取りやめ、新選組は解散、
隊士達は再び路頭に迷うことになるが、それでもいいのだなと念を押す局長。

(永)「良いも悪いも、それが侍の道です。」       おお、永倉さん、カッコイイ。

局長はいったいどう考えているのかと沖田さんに促され、近藤さん、やっと自分の意見を語ることに。

ここで盗み聞きしていた平隊士の石井は、局長の考えを聞く前に、
「幹部は直参、俺達は解散。幹部は直参、俺達は解散。」と何度も何度もお題目のように唱えて、
部屋に戻っていきます。
そして、皆にそのままを伝えてしまうので、ますます動揺する隊士達。
石井にそれは確かかと尋ねるも「だと思う。」などと曖昧なので、結局、皆で局長に聞きにいこう、
ということになってしまいます。

では、石井が聞き漏らした局長の考えは?
しばしの沈黙の後、口を開いた局長。

(近)「それでは言おう。俺の答えは、会津からの帰りに土方と相談して、既に決まっている。」  
                                                 やっぱり~。
   「ただ、このことは、隊士全体に、とりわけ江戸の試衛館以来、同じ釜の飯を食ってきたお前達に
    深い係わりを持つから相談したのだ。
    つとに、隊士全体に話をする前に俺達幹部の腹をくくっておきたかった。
    俺は、初めから断るつもりでいた。」

そうですよね、それしか考えられない。そうでなくっちゃ、男が廃るというものです。

でも、ここで、断るにしても幹部の巻き添えをくって路頭に迷うことになる隊士達の身の振り方を
考えてやるのが先決だと言う山南さん。
そう思う、俺達は何とでもなるからと永倉さん。   二人ともほんとに優しいですね。

じゃあ、どうしろというのか、幹部も隊士も両方良いという方法が何かあるのか?と問う斎藤さん。
確かにこのままでは、どっちに転ぼうが平隊士達の行く末は同じこと、どうします?局長。

そこで沖田さんが素敵な発言。

(沖)「聞いて下さい。試衛館にいた頃は、私達は死ぬも一緒、生きるも一緒でした。
    そして、京に来てからも、そう誓いました。
    今、私達が死ぬ気で気持ちを揃えれば、隊士達は皆付いて来ます。」            

(土)「総司の言うとおりだ。会津からの帰り道、局長はこう言った。
    断って、たとえ明日から食う道を失っても、俺達は江戸に帰らない。
    京に残って、あくまでも天皇と将軍に尽くす道を探すんだ。
    多摩の壮士の意地を貫き通すんだとな。」
                                    うん、うん、やっぱり近藤さんです。
                                    肝が据わってます。
こう話す土方さんは、なんか嬉しそう。
会津からの帰りに近藤さんから「江戸には帰らない」という言葉を聞いた時は、
さぞかし嬉しかったでことでしょう。

ところで、やっと出てきた土方副長。
今まで、一言も口出しせず、黙ってみんなの意見を聞いていました。
こういうところも、古谷土方、良いなあって思います。
誤解されてるところあるかもしれませんが、
いつもいつもガンガン言って、自分の意見だけを通す人ってわけじゃないんですよね。
やっぱり素敵、土方さん。

(山)「そうか、すまん。私は、考えすぎた。私は、局長に付いて行く。」 
  
自分が考え違いをしたと思った時にすぐ謝れる山南さんのこういう素直さ、いいですよね。
こういうところ、土方さんには無い、ですよねぇ…。
                    (無くてもね、大好き 私はね。
                
(みんな) 「局長、局長。」   

(近)「もう一度、付いて来てくれるか?この俺に。」   

(みんな) 「はいっ!、はいっ!」   

ここでまた、新選組幹部、いいえ、試衛館の同志の心は一つになりました。
本当はこのままずっと、みんなの気持ちが一つのまま、ずっと続いていってくれたら…、
そうであったらどんなに良かったでしょう…。
そうすれば、この先の多くの悲しい出来事は、起こらなかったと思わずにはいられません。
でも、それは、まだ少し先のお話ですね。
今は、みんなの心は一つに団結し、力を合わせてこの大ピンチを切り抜けようとしているところ。
                              
                                               次回につづく…            

新選組始末記 第8話
第8話 「見廻組騒動」

元治元年春、14代将軍家茂は、再び上洛して二条城に入ります。
そして、その頃、幕府は新選組の活躍によって保たれている京都の治安を更に固める為、
新たに江戸の旗本、御家人の次男、三男で組織した見廻組を結成させます。
しかし、その見廻組の出現は、新選組にとってその存在を脅かすものであり、
また、旗本、御家人の子弟から成る見廻組からみれば、新選組は未だ一介の浪士団に
過ぎないものでした。

そんなある日、巡察中の二番隊、三番隊が、武士の集団を呼び止めます。
が、再三の「待て」の呼びかけに全く耳をかす様子もない一行。完全無視状態。
そんな彼らを取り囲み、待てと言うのが聞こえないのかと詰問する永倉さん。
その言葉に、自分たちは蒔田相模守様を組頭に頂く幕府直属の見廻組で、
お前達の咎めを受ける身分の者じゃないと高飛車な武士たち。
ここで、始まる押し問答。

(永) 「見廻組? そんなものは知らんっ。
     俺達は、正式に京都市中取締役の命を受けている新選組だ。
     余計な手出しをせずと、二条城の番でもしていろっ!」                
                           おや、永倉さん達は、まだ見廻組を知らないのですね。

(武1)「貴様、浪人のくせに直参旗本に向かって何という口をきくかっ!
     新選組には明日にでも解散の命が下るはずだ。さっさと江戸へ戻る荷造りでもしろっ。」 
                                      えーっ? 解散命令?

(斎) 「このやろうっ! 昨日今日京都に来やがって、でかい口叩くのうっ!
     この一年、長州を追っ払うのに俺達がどれだけ苦労したのかわかっているのか?」 
                                      うわあ、斎藤さん、かなり熱い。

(武2)「食うための苦労など、武士のする苦労ではない。」      
                                 武士は食わねど高楊枝ってことですか?

(斎) 「うるせぇっ! 将軍が去年この京都で長州の人質同様になっていた時、
     てめぇ達は江戸で何をしていやがったんだっ、えっ? この禄盗人めっ!」    
                              まるで斎藤さんの頭からは湯気が立ってるよう。
                              凄い迫力。旗本だからって少しも怯みません。
                              それにしてもこの斎藤さん、言いますねぇ。
(武1)「貴様、我々を禄盗人というか?」   

(斎) 「そうだぁっ! 」                あくまで強気の斎藤さん。いいなあ。

(武1)「許さーんっ!」                 これはね、怒るなって言う方が無理かもですね。
                               こともあろうに「禄盗人」ですからねぇ。

あーあ、お互い熱ーくなり過ぎて、とうとう刀を抜き合うまでの事態に。
が、刀を交えたちょうどその時、絶妙のタイミングで近藤局長と土方副長がご登場。

(近) 「待てっ!」

止めに入った局長にこの見廻組とは何かと尋ねる永倉さん。
本人達を前に直参風を吹かしやがって気色悪いとまで言い放つところが、
いかにも永倉さんらしいです。
それを抑え、新選組は、守護職預かりと言うだけでなく朝廷より直々に市中取締りの命を受けている者であり、守護職からも別段解散の命がない今は、みだりにその任を離れるわけにはいかない。
お引取り願いたいとキッパリ言う局長。さすが貫禄十分。

(武1)「あなたは?」            皆が「局長」と呼んでいるのだから聞くまでもないでしょうに。

(近) 「新選組局長 近藤勇。」

(土) 「同じく副長 土方歳三だ。」   なんかね、この時の土方さんも素敵なの。

二人の名前を聞き、ちょっと跋が悪そうにするも、自分達の隊長、蒔田相模守がまもなく江戸から
200人の見廻組を連れて京に入ってくるから、その時に改めて挨拶すると捨て台詞を残し、
彼らは去っていきます。

そのまま黙って行こうとする局長に納得いかなそうな永倉さん。
会津の話は何だったのか、まさか見廻組が出来たから新選組は解散しろということじゃないでしょうね、と詰め寄りますが、巡察の後に屯所で話すという局長。
そうか、局長と副長は会津から呼び出しを受けた帰りだったのですね。
それでも諦めず、今度は副長に食い下がる永倉、斎藤の両名。

(永) 「副長、副長っ! 答えて下さいっ!」

(斎) 「今の奴ら、あのままで良いんですか?しめしがつかんっ。」

(土) 「余計な心配してねぇで、市中取締りに専念しろっ!」    
                            土方さんも何やら今は何も言いたくない様子。
                            局長が後でと言っている以上、それに平隊士も
                            大勢いるところで滅多なことを話せる訳ありませんね。
                            永倉さん、斎藤さんも熱くなるのはわかるけど、
                            隊長さんなのだから、もう少し冷静でなくっちゃね。

見廻組とのいざこざは、すぐに隊内に広まり、平隊士達も新選組は解散なのかと
心中穏やかではいられません。
局長の部屋の前に集まり、何が起きたのか教えてくれと大騒ぎ。

一方、部屋の中では、沖田さんと山南さんが隊士達をこのままにしておくとえらい事になる、
本当のことを話すべき、会津では何があったのか教えて欲しいと訴え中。
無言の局長、そして副長。
そこに巡察を終えた永倉、斎藤の両名が加わって
この二人が改めて質問するも、一向に口をつぐんだままの近藤局長。
と、一同を見回し土方さんと目線を交わすと、すっくと立ち上がり、
幹部たちには何も言わぬまま障子を開けて隊士達の前へ。

(近)「お前たちが、そこまで心配しているのに何も言わぬ訳にもいくまい。
    今日、会津藩に呼ばれたのは、京都に新しく幕府直属による見廻組を置くと
    通達があった。それだけだ。」                                 

もっと突っ込んだ話があったはずだ、新選組は解散なのかと動揺する隊士達。 
それはそうですよね。
ただそれだけだと言われても、隊士達の不安は解消されません。

(近)「静まれ、動揺するな。新選組は何も変わらん。通常通り、隊務に精励せよ。」

うーん、そう言われても…、局長の口からはっきり解散はないと言われた訳ではないし、
自分たちの明日がどうなるかわからないという不安の中、いつも通りに頑張れと言われてもねぇ。
隊士達の不安、動揺がなくなる訳はないです。
案の定、隊務につかないやる気なし隊士が続出、そんな彼らに雷を落とす永倉さんでした。

そうして、いよいよ蒔田相模守率いる見廻組が京に入って来ますが、
その姿を苦々しい思いで見る隊士達。
今にも剣を抜き、飛び掛ろうかという勢いの隊士達を必死に抑える永倉さんと斎藤さん。

(永)「抜くな、抜いちゃいかんぞ。」

(斎)「いいか、抜いた奴はたたっ斬るぞっ。わかったな。」  

やっぱり永倉さん以上に熱い奴です、この一さん。
けれど、一番飛び掛りたい気持ちだったのは、永倉、斎藤のご両人だったのではなかったかと。

さて、二条城では、
老中板倉様が、上洛した蒔田相模守広孝(川合伸旺)と会見。

(蒔)「御老中、あの新選組というのはいったい何でござるか?   
    たとえ一万石とはいえ、この蒔田相模守は備中浅尾の藩主。
    その蒔田が幕命によって見廻組を指揮いたします。
    たかが浪人ふぜいの集まりの新選組ごときは、もはや全く不要。
    会津殿に令し、即刻解散をお命じ下さい。」        
                             なんとまあ、上洛早々ご挨拶ですね。

(板)「そうはいかん、京都が今日のように静かになったのは、挙げて新選組の力だ。」 
                             おお~、さすが御老中、わかっていらっしゃいます。

(蒔)「御老中、我ら見廻組が京都に来ました以上、京都市中は必ず守り抜きます。
    新選組は不要でござる。」

(板)「あはははは、蒔田さん、貴公は一年前の京都を知らんのだ。
    あの頃の京都を知っていたら、とてもそんなことは言えぬ。」   そうよ、そうよ、その通り。 

そんな御老中に、幕府の大名、旗本より新選組を信頼の様子だが、
上様警護を始め、京都市中の治安確保は、本来幕府のやるべき仕事であるのに
あのような浪人に任せるとは何事か、そういうことが長州に幕府を軽んじさせる理由に
のだと、あくまでも強気の蒔田相模守。
でもね、その大名、旗本たちが頼りにならないから京都が乱れてしまったのでしょう?
自分達が京都を守ると息巻いても、斎藤さんが言ったように一年前、将軍が京に上ると知って
貴方たち大名、旗本たちはいったい何をした?
自分達が本来すべき仕事だと言うのなら、なぜそれを今まで放棄してきたの?と問いたいです。

大きなため息の御老中、見廻組と新選組の板ばさみで困った板倉様は、
会津の田中様に知恵を貸してくれと呼び出します。

(板)「そういう訳でな、京都を知らぬ奴が何を言うかとも思うが、見廻組こそ不要だとも申せぬ。
    あはははは、何か良い手はないか?その方得意の知恵を絞ってはくれぬか?」  
                        御老中は、新選組を本当に評価して下さっているのですね。

(田)「はっ、某ごとき陪臣に御老中直々のお言葉、恐れ入りましてございまする。
    実は、まっ、知恵と申すほどのことではござりませぬが、
    某なりに近藤、土方を呼び寄せまして、とりあえずの案を伝えてござります。」

まあ、そうなのですか、で、その案とはいったい何?
局長、副長はまだ皆に何も伝えてません。
でも、やはり見廻組を置くという通達だけではなかったのですね。
新選組の進退を左右する大事な話があった。
これで、なぜ局長も副長も、幹部達の再三の説明要求にもなかなか口を開かないのかが
わかりました。
おそらくじっくり時間をとって、皆に話をしたかったのでしょう。

では、田中様のその案とは…
それは、近藤さん以下新選組幹部を幕府直参に採りたて、見廻組と同じ資格にするというもの。
だだ、平隊士は近藤さんたちが直参を受けるか受けないかによるとの話でした。
新選組誕生以来、苦楽を共にしてきた間柄ともいえるので、無碍に非情なことも致しかねるという
田中様が考えた苦肉の策。
さすがに知恵者だと褒める御老中ですが、とはいえ、この両名の気がかり、問題は、
肝心の近藤さん達がこの話を受けるかどうか。                            
でも、受けなければ見廻組が承知しないだろうとは田中様のお言葉。
そして、それは確かな事かもしれません。

さて、新選組存続に係わるこの大ピンチ
局長は、いったいどうするのでしょう?
                                                   つづく・・・

追記 「歴史秘話 ヒストリア」
やっぱり、ちょっと気になったので、しつこいようですが「歴史秘話 ヒストリア」について追記を。
前回の感想で、
 「この番組もやはりNHKらしくバラエティに走らない真面目な作りで
 (前番組よりくだけたところは多々ありますが)安心しました。
 (NHKなんだから、そうでないと困りますけど。間違っても某民放の歴史番組のように
 なられては困ります。) この番組の今後に期待したいです。」

などと書いたのですが、
TV視聴後、番組に出演していた歴史研究家の中村武生氏のブログとHPを見つけて
拝見したところ、この番組で私に伝わった中村氏の見解と実際の見解が違うことが良くわかりました。
編集で中村氏が語った部分で一番肝心なことがカットされている為に、視聴者には(私には)
本当の意味が伝わらなかったということがわかったのです。

それで、中村氏の説がよくわからない、という私の疑問は晴れたのですが、
うーん、こんな編集をするような番組なら、がっくり  ということで、
前回書いた番組評は、訂正せざるを得ないかなって。

これが新選組がテーマで、少しといえど知識を持ち合わせているから、
たとえば、中村氏が拷問はなかったと言っているように採れても、その根拠って何?とか、
ちょっと違うよね、とか疑問を持てますが、自分の全く知らない分野だとしたら、
疑問など持つことさえなく、「へぇー、そうなんだ」で終わってしまうわけですから、
もしかしたら、間違った知識を刷り込まれてしまう可能性もあるってことで、
それって、嫌だなあ、怖いなって思いました。

やはり、こういった番組を作る以上は、こんな意見もある、見解もあるよ、という紹介にすぎなくとも、
せめて専門家の人の意見の趣旨は変えずに放送するだけのことはして欲しいです。
信じる、信じないは個人に委ねられるとしても、正しい情報が根本になければお話になりません。
国営放送NHKだから、そんなことは当然成されているはず、と思っていたのは、私の買い被り、
間違いだったというわけですねぇ。
それにしても、あの編集は・・・  どう考えても不思議。
NHKは色んな不祥事も取りざたされましたが、やっぱり質も落ちてるってことなのかな?

そこで、教訓。
NHKであろうが、なかろうが、情報を鵜呑みにしてはいけない。
TVで放映されたことが、真実とは限らない。
        
そんなこと当たり前、今更のことじゃない、と言われそうですが、
子供の頃からTVがあって、TVを見て育った典型的なテレビっ子、
テレビで放送されたことは正しいって思ってた時期もある私には、
未だにその癖が抜けないところもあるので、注意しなくちゃと思った次第。

今後も新選組がテーマの番組は見るつもりですが、TVに必要以上の期待をするのは止めます。

観ました「歴史秘話 ヒストリア」
「歴史秘話 ヒストリア」 観ました。
特にこれといって新事実というものはなかったように思います。
ですが、光縁寺にある沖田氏縁者の墓の戒名と沖田さんの戒名に共通点があり、
沖田さんの戒名は慶応3年に亡くなったその縁者の戒名を下敷きにして作られたものと考えられ、
一般的に夫婦は似た戒名をつけることから、沖田氏縁者とされている女性は、
沖田さんの内縁の妻だったのではないかと考えます、との幕末史研究家 菊地明先生の説における
この2人の戒名の共通点については、初めて聞きました。
あっ、そうか、初めて聞いたということは、私にとっては新事実ということになりますかね。
まあ、細かいことは置いておきましょう。

さて、この説、「ほぉ~、そういうことも考えられるんだ」と思いつつも、
だから「内縁の妻」だったというのは、どうなのかなあ?とも思いました。
いえ、私にそれを否定するような根拠は何一つありません。
ただ、何となくそう思っただけでして、深い意味など全くないんですけどね。
単に「内縁の妻」という呼び方が気に入らなかっただけかもしれません。
実質的には同じでも「恋人」と言った方が沖田さんには似合ってる気がして。
ミーハー的考えの何ものでもないってことです、ハイ。

それから、古高の拷問での自白はなかった、とする歴史研究家の中村氏の説。
拷問で古高が全てのことを話したというのは事実ではない、ということでした。
確かに映画やドラマでは拷問で計画の全てを話してしまうという展開が多いですが、
あくまでもそれは創作上であって、史実としては、古高が計画の全てを自白したなんてことは、
今までも言われていないことですし、新選組が2隊に分かれてローラー作戦で浪士の探索を
行った結果、池田屋を突き止めたということは、昔から言われている事ですから、
失礼ながら何を今更?という感じも正直ありました。

そもそも中村氏の説は、拷問もなく自白そのものも全くなかった、ということなのか、
拷問はあったけれど計画の全てを自白したということはなかった、ということなのか、
他にも色々採りようはありますが、私にはよくわからなかったので、
その点をもっと明確にして欲しかったなあって思います。
でも、それって、もしかして私の理解不足でしょうか?
拷問による自白はなかった=拷問も自白もなかった なのかな?
いずれにしても、もっと説得力のある資料を示してお話いただけると嬉しかったです。

また、池田屋事件後の幕臣取り立ての出世話に対し、自分の一存では決められないから
皆さんの意見を聞きたい、と記された近藤さんの故郷へ宛てた手紙を取り上げて、
苦悩する近藤さんの姿を紹介(?)していましたが、
近藤さんが出世話に応じられなかったのは、混乱状態だったから、
運命の目まぐるしい変化に戸惑いを隠せなかったから、
ということだけで片付けてしまったところも、ちょっと納得がいきませんでした。
もう少し、掘り下げた検証をお願いしたかったです、何と言ってもNHKさんですから。
結局、近藤さんが出世話を受けたのかどうかも不明のままでしたしね。
まあ、それは周知のことと言われればそれまでですが、
テレビを見ている人の中には新選組を初めて知る人もいるはずですから、
そういう点でも、もうちょっと親切な説明があってよかったかなと。

そうそう、土方さんのCGでの和装姿が出ましたが、うーん、これは微妙でしたねー。
何が?と言われるとよくわかりませんが、髪型かなあ?なんかシックリこなかったです。

それにしても、渡邊あゆみアナの「トシちゃん、調子乗りすぎ!」には参りましたー。
まさか、あの渡邊アナの口からあんなセリフが飛び出すとは…。ビックリ。

それとそれと、近藤さんの幽霊アニメキャラ、急にピューって出てきて、これまたビックリ。
一瞬、なんだこりゃあ?って思いましたよー。
あそこで死んでないのに勝手に殺すなーって感じでしたねー。
いえ、もしかしたらこうなってたよ、ということで飛び出てきたのはわかっていますけど。
でも、驚いたと同時に実は大笑いしちゃったんです。だって、可愛いかったしね。

色々書いてはきましたが、観ていて楽しかったのは確かです。
土方さんの鉢金の話も良かったです。
あの鉢金のアップ、たくさんの傷を見ていたらなんだかドキドキしてしまいました。
再現シーンも本格的で迫力がありました。池田屋の殺陣シーンなんてホント迫力満点でしたし。
欲を言えば、3人取り上げるには時間が短すぎたので、出来れば1人ずつ制作して欲しかったなあ。
それに土方歳三資料館や八木邸ももっと詳しく見せて欲しかったです。
番組の趣旨とは離れてしまうかもしれませんが、あれだけではもったいない気がしました。

今更、比べることに何の意味もありませんが、敢えて言うと前番組「その時歴史が動いた」の方が
好みでしたが、(松平アナの落ち着いた番組運びが好きでした。終わってしまい、寂しかったです。)
この番組もやはりNHKらしく、バラエティに走らない真面目な作りで
(前番組よりくだけたところは多々あるにしても)、安心しました。
(NHKなんだから、そうでないとね。間違っても某民放の歴史番組のようになられては困ります。)
この番組の今後に期待したいです。

NHK「歴史秘話 ヒストリア」
明日(5月13日)、NHK総合 午後10時からの「歴史秘話 ヒストリア」で、
新選組が取り上げられます。
4月から始まったこの番組、6回目にして、いよいよ「新選組」登場です。

題して 「新選組京都青春録 素顔の沖田・土方・近藤」

9年間続いた「その時歴史が動いた」の後番組として始まった当番組。
実は、まだ一度も観ていません。
ですから、どのような番組進行がなされるのか、全くわからないのですが、
NHKですから、某民放番組のようなものではなく、真面目に検証された番組であることは、
間違いないだろうと期待しています。
とーっても楽しみ。 忘れずに観なくっちゃ。

それから、2月から発売されている『週間 名将の決断』
以前書いた記事で、発売日の予想をしたのですが、
松平容保様が取り上げられた11号が、ゴールデンウィークを挟んだからでしょうか、
予想の4月30日ではなく、10号の発売から2週間後の5月7日の発売になっていますので、
その時の予想とは一週間のずれがでました。
ですから、これから変更なく無事毎週木曜に発売されるとすると、土方さんが載る14号は、
5月28日の発売になるのではないかと思います。
毎週木曜発売と謳っている以上、変更はしないで欲しいですが、そうもいかないのでしょうかねぇ。
楽しみにしている者にとっては、たかが一週間といっても長いんですけどね。
これ以上ずれがなければ、28日は本屋さんに走ろうっと。


「池田屋」復活のニュース
今更遅すぎと言われそうな話題で恐縮ですが、
          京都の池田屋が130年ぶりに復活する  というニュース。
復活と言っても、居酒屋チェーンがお店を開店し、その名に池田屋を冠するというものですけど。
その名も 「はなの舞 池田屋店」
確かに池田屋の名が冠されることは嬉しいことです。
今まで池田屋跡を示すものといえば、隅にある一本の石碑のみ。
(あっ、今は地面にプレートもあるらしいです。私は見たことないですが。)
三条通に面していて、人通りも多いところなので、うっかりすると通り過ぎてしまいそうで、
日本の歴史に名を残す出来事があった場所、史跡としては、寂しい限りでしたからね。

それに、訪れるたびに跡地にある店が変わっていることに驚いたものです。
私が初めてその地を訪ねた時は、確かケンタッキーフライドチキン。
数年後は、パチンコ屋。
また、その後、パチンコ屋でも明らかに営業していない様子の時もありました。
そして、昨年からは空きビルになっていたそうです。

今度の居酒屋さん、外観は地上2階、地下1階の現代的な建物でも、内装は江戸時代をイメージし、
池田屋にはお馴染みの高さ約7メートルの階段も設ける予定とのこと。
池田屋といえば、ドラマ、映画での「階段落ち」は、欠かせませんものね。
地元商店街も町おこしの起爆剤にと期待しているそうで、
ニュース記事によると会社側も「旅行業者とタイアップするなど、地元の観光振興に役立ちたい。
騒動の跡地ではあるが『癒やし』の場を提供していきたい」と話しています。

このニュースを知った時は、「へぇ~、チェーンの居酒屋なら入り易そうだし、いいかも。」
「京都に行ったら絶対に行くぞー。」って単純に喜びました。
でもね、よーく考えてみると、あそこで楽しくお酒を飲むというのも…
うーん、どうなんだろう?という気持ちも、だんだんと湧いてきたんです。
池田屋は、言うまでもなく2時間にも及ぶ壮絶な死闘が繰り広げられ、
尊攘派の志士達が無念の思いを残して死んでいった場所ですから。
それを思うと、複雑な心境になります。

できれば、池田屋騒動址の碑の傍に供養塔の一つも建てて、
そこで命を落とした志士達の供養をしてから営業を始めて貰えたらどんなにいいか、
と思うのですが、そんなことは簡単には出来ないことでしょうし、まず、ないですよね。
本当は、池田屋跡地は、資料館など歴史を偲ぶ場所にして欲しいと思いますが、
商業的には無理でしょうしね。
        
  (追記) 志士達の供養のことですが、三条小橋商店街では毎年7月15日に、      
        殉難者たちのお墓がある三緑寺のご住職を招いて供養祭を行っているそうです。
        私は今日まで、かの地で供養祭が行われていることを全く知りませんでした。
        お恥ずかしい限り。ですが、このことを知り、なにかホッとしました。

                                            (2009.5.17 追記 )

それでも、開店となれば、やはり行ってみたい気持ちは大です。
どんなお店なのか、この目で確かめたい。
階段を作るくらいですから、メニューのネーミングとかにも幕末に関係あるものを入れることを
お願いしたいですが、その辺りは、どうなのでしょう?
全国にあるチェーン店と全く同じだったら、つまんないなー。
全ては開店してからのお楽しみということでしょうが、
何はともあれ、池田屋の名の復活は、歴史を忘れない上でも、ありがたいことかなって思います。

ちなみに、オープンは今年7月だそうですが、もしかして祇園祭の宵山とか?
えっ、まさか、そこまではねぇ・・・ けど、可能性もあり? かな?

鶴田版「新選組」放送終了
鶴田版「新選組」全19話、観終えました。
初めにお断りしますが、今回はとーっても辛口感想になってます。
特に結束ファンの方、鶴田ファンの方は、不愉快な思いをされるかもしれません。
ですから、お読みになる場合は、その点をご了承の上、お願いします。

うーん、やっぱり最後まで鶴田浩二氏の為の作品でしたね。
この番組が始まった時に、結構いい感じ、先が見えない分、楽しめるかも、
史実無視もここまでくれば割り切れる、と書きましたが、
いざ全話観終わってみると、思ったより割り切れるものでもないこともわかり、
あまり満足できる作品ではなかった、というのが正直なところ。

初めから「大スター鶴田浩二の新選組」であるということは、分かっているつもりでした。
それでも結束信二氏のオリジナル作品ということで、期待はありました。
名作と言われる「新選組血風録」、「燃えよ剣」には司馬遼太郎先生の原作がありますが、
ドラマ化に当たっては、原作どおりではない、結束氏オリジナルの部分や話も多く、
それらで私達を感動させて下さったという実績は、紛れもない事実ですから、
当然の如く、この作品も御多分にもれず、であることを期待しました。

でもね・・・。 正直、期待は期待で終わってしまいました。

結束先生は、この作品を書き、映像化されたものを観て、果たして満足されたのでしょうか?

そんな疑問が頭に浮かび、少しでもヒントはないかとネット検索した結果、
「結束信二の世界」というHPを見つけました。
そのサイトの「結束信二の遺稿集」という項目のところに、
第六回「新選組の嘘、本当」という文章があります。
そちらを読むと新選組作品に対する結束先生の考えが少し分る気がしますが、
その最後に鶴田版新選組に対し、「私の新選組だ」というような趣旨のことを
書いていらっしゃいます。
それを読んで、「ああ~、そうなのかあ~。」って思いました。ショックでした。
もし、この作品が、結束先生にとっての新選組で間違いないと言われるのなら、
残念ですが、私の新選組とは違うとしか言いようがありません。

鶴田版「新選組」では、結束作品でありながら、全く感動させてもらえませんでした。
美味しいところを全て鶴田近藤が持っていくために、せっかくのいい話が興ざめになる。
例を挙げれば、永倉さんが瀕死の女性と結婚する回(第16話)、最後、永倉さんが仇をとったなら、
心に残る話となったでしょうに。
なぜか永倉さんに代って鶴田近藤が、浪士達を1人でカッコよく片付けてしまう。
斎藤さんもいたのにただ見ているだけで戦うのは局長だけ、そんな殺陣シーンもかなり不自然で、
局長に仇を取って貰って気が済む永倉さんという設定も、やっぱりどこか違うでしょう?と思えて。

鶴田近藤を前面に押し出さなければならなかった結果、ああならざるを得なかったのではなく、
あれが結束先生の考える新選組だったのだとしたら本当にショックです。
いたずらに多い鶴田近藤の殺陣シーン、鶴田ファンにとっては見せ場が多く、
大感激だったかもしれませんが、私には、いらないシーンがありすぎでした。

あまりにもスタンドプレーが目立つ局長。
余程、腕に自信があるとみえ、どんなに腕の立つ相手であろうが、自分1人で立ち向かい、
バッサバッサと斬り倒す。
土方さんの言葉には耳もかさず、「その必要は認めない」(このセリフ、嫌い)との一言で却下、
幹部達の意見を聞くなど、みんなと相談するなんてことは皆無。
副長の存在意義も全くなし。
たとえ長州藩御用達の店であっても1人だけで平然と入ってしまう御仁で、
周りの隊士達がどれだけ心配しているかなんて、たぶんお構いなし。
たとえ間者であろうと独断で見逃してしまうのは、包容力の表れとでもいうことでしょうか?
そんな鶴田近藤は、見た目風格はあるにしても、大将の器とは思えません。

自分がやらなければ気がすまないというのは、
人任せにできない=人を信じられない、人を使いこなせないということですから。
いくら腕が立つとはいえ、万が一のこともあるわけです。
もし局長が1人で斬り合いをして殺されてしまったら、一体どうするのよ。
新選組はどうなってしまうのか、残された隊士達は? 
そこに考えが及ばないとは、あまりにも無責任過ぎ。
そういう人は、本来一番上には立てないもの、いいえ、立ってはいけないんです。
ドラマだから、主役だから、斬られない、殺されることなどない、と言われればそれまでですが、
結束先生は、こういう近藤さんが好みだった?

そして、最後まで悪者で孤立無援の土方さん。
有川沖田は、とっても素敵でした。
回を重ねるごとに、いいなあって思って、大好きになったのですが・・・
それなのに、それなのに最終回、なぜ結束先生は沖田さんにあんなセリフを、
土方さんが今まで行ってきたことをすべて否定するかのようなセリフを言わせたのでしょう?
悲しかったですねぇ。
有川沖田がとっても素敵だったが故に、尚更この設定は残念で仕方ありませんでした。
そんなのありえないでしょう、絶対にありえない、そう何度も呟いてしまいましたよー。
もしも、沖田総司があんな風に考えていたとしたら、土方さんがあまりにも可哀想過ぎます。
しかも、幹部の中に土方さんを擁護する言葉を発する人はいないし、
近藤さんでさえ何も言わないなんて・・・。

更には、沖田さんの言葉を聞き、みんなの前にもかかわらず泣きだす土方さん。
うそでしょう、なんでよぉ~。
その涙は何に対して? 今までのことを後悔しているってこと?
はぁ~。
結束先生は、土方歳三が嫌いなんだなあって、少なくとも私にはそう思えてなりませんでした。

それに鳥羽伏見開戦前に、なぜか死ぬことだけしか考えていない隊士達。
なんとかして、勝とう、最後まで戦い抜こうなどという前向きな考えは一切なし。
完全に諦めムード。まあ、局長自身がそんな考えですから、仕方ありませんが。
ここでみんな一緒に散ろう、だなんて、
やはり鶴田浩二だから特攻隊のイメージを取り入れたということなのでしょうか?
最後は、大砲が打ち込まれる中、玉砕覚悟でただ闇雲に敵に突進していく局長と隊士達の姿。
ああ~、これでは、慶応4年1月3日に新選組隊士全員、討ち死にしたとしか思えず、
最後の最後にまたもや大きなため息が…。
新選組はそうではないでしょうと、どうにも納得がいかないラストになりました。
全てにおいて中途半端感が残る作品だったように思います。

それにしても、どうして、栗塚土方、左右田斎藤という配役にしたのでしょうか?
どう考えても不思議に思えてなりません。
他にも「燃えよ剣」出演者が多数出演しているのは、前作のファンを取り込もうという意思が
あったから?ファンサービス? 
けれど、それは逆効果だった気がします。
全くのオリジナルだったのならば、全く違う俳優さんを用いることで、
前2作からの呪縛から解き放されたかもしれません。
違う土方、斎藤だったら変に前作と比べることもなく、まったく新しい作品として観る側も
割り切れたのではないかという気もします。

そうそう、もう一言、全19話で山南さんの脱走、切腹のエピソードが
完全スルーだったのにも驚きました。
いい人である鶴田近藤に山南切腹の断を下させることはできない、ってことだったのでしょうか。
あまりにも良い人過ぎる局長だからこそ、どういう話の展開に持っていくのか楽しみだったのに、
全くのスルーとは。
見事に予想を裏切ってくれたとしか言いようがありません。ああ~。

あまりにもおっさん臭く、そしてあまりにも正当すぎるその正義感が鼻に付く鶴田近藤。
だんだんと嫌気がさしてきちゃって、私には、少しもカッコよく見えませんでした。

というわけで、鶴田版「新選組」、ゲストも豪華だったし、カッコいい人、素敵な人も
たくさん出演されていたのですが、
(若き日の太田博之さん、ほんと美形でしたねぇ。
 確か必殺仕掛人に出演されてましたが、その後、若くして実業家に転身されたのですよね。
 若くてイケメンな実業家だなんて、まるで絵に描いたようでカッコ良すぎ~。
 と思いきや、調べてみたら20年位前にあるトラブルから警察のお世話になってしまったようです。
 今はもう60歳を超えていらっしゃるようですが、現在はどうされているのでしょう? 
 話は戻って、田村高廣さんもさすがにステキで、藤岡弘さんもカッコ良く、成田三樹夫さんは
 既述のとおり言うことなく、この方達の素敵なお姿を拝見できただけで、この作品を観た甲斐が
 あったというものかもしれません。)
それでも、残念ながら内容的には私のお気に入りとはなりませんでした。
あしからず。
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